デジタルを活用し、主体的に学ぶ児童の育成
- いつ
- 2026年6月24日
- どこで
- 府中市立第九小学校 校内研修会
- 対象
- 小学校の先生方
- 研究主題
- 自己決定できる第九の子
- 話した人
- 石出 勉(東京女子体育大学 教育工学研究室)
「個別最適な学び」と「協働的な学び」を、日々の授業でどう形にするか。 この研修では、自己調整と他者参照という2つの言葉を軸にして、 当日参観した授業と、これまで見てきた各地の実践を並べながらお話ししました。
当日の授業から
はじめに、その日の6年算数の授業を振り返りました。 子どもが自分で学び方を選び、友だちの考えを見に行き、 最後に「何を学んだか」と「どう学んだか」の両方を振り返る。 その一つひとつが、答申の言う個別最適・協働的な学びのどこに当たるかを確かめていきました。
どうやって問題を解くか話し合う。助言は個別に。
自分の学び方を振り返る。自分の学んだことを振り返る。
2つの軸で整理する
令和3年1月の中央教育審議会答申は、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実を求めています。 言葉としては知られていても、授業のどこを変えればよいのかが見えにくい。 そこで、次の2つに置き換えて考えました。
- 自己調整 自分のペースで、自分のやり方で、自分に必要なことを学ぶ
- 他者参照 友だちの考えを見て、協力してわかり、わかったことを伝える
この2つがそろうと、答えが1つの問いから、多様な考えが出る問いへと授業が変わります。 ただしそれは、授業観と評価観の転換を伴います。 これまで「カンニング」と呼んでいた行為が、他者参照として意味を持つようになるからです。 ここが一番の分かれ目でした。
ほかの学校の実践から
小学校から中学校まで、実際に参観してきた授業を紹介しました。 学年も教科もばらばらですが、どれも自己調整か他者参照のどちらかが効いています。
- 小5社会科 気候の違いをジグソー法で分担して調べ、わかったことを伝える
- 小2生活科 興味をQRコードとフォームで意識化し、大画面で共有する
- 小3 チョウの成長を「知らない人に伝える」ことを目標に、作成過程を共有する
- 小5総合 センサーとプログラミングで「未来遊び」をつくり、伝える相手を意識する
- 小5算数 自由進度学習
- 中学数学 板書を写真で記録し、確認しながら個別の問題に取り組む
- 中3国語 評価の基準を先に共有し、複数の意見を読んで考える
知る、わかる、できる、している
研修を受けても実践が変わらないのはなぜか。 「知らない」から「している」までの間に、5つの壁があるという整理を紹介しました。
- 知らないことを知らない → 知らないの壁
- 知らない → 知識の壁 → 知っている
- 知っている → 行動の壁 → やってみる
- やってみる → 気づきの壁 → わかる
- わかる → 技術の壁 → できる → 習慣の壁 → している
研修が届くのはたいてい2番目までです。3番目の「やってみる」に進むかどうかで、その後が変わります。
これからの方向性
次の学習指導要領に向けた議論では、エージェンシーやコンピテンシーといった、 より高次の資質・能力が語られています。 自分で学習の道具を選び、自分で調整しながら学ぶ場面では、 その土台として情報活用能力が欠かせません。
あわせて、業務を見直して捻出した時間を何に再投資するかもお話ししました。 各教科から少しずつ生み出した時間を、教育相談、個別学習、学習の自己調整、 児童会や委員会、そして先生自身の研修に充てるという考え方です。
当日のスライドは、他校の授業写真とお名前を多く含むため公開していません。 内容についてのご質問は お問い合わせ からお寄せください。